大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(ネ)1610号・昭26年(ネ)1583号 判決

控訴人斎藤伊太郎は、山梨県北巨摩郡塩崎村下今井字市子石第千九百五十四番、同所第千九百七十四番及び同所第千九百六十一番各山林附近においてある赤松約百三十五石(昭和二十四年二月二十三日に仮処分を執行したもの)を、被控訴人に引渡すべし。

控訴費用は控訴人等の負担とする。

第二項に限り仮にこれを執行することができる。

二、事  実

控訴人斎藤金次訴訟代理人は、「原判決(昭和二十五年(ワ)第二六九号事件)中、控訴人斎藤金次勝訴の部分を除き、その余の部分を取消す。被控訴人所有の山梨県北巨摩郡塩崎村下今井字市子石第千九百五十四番山林と、控訴人所有の同所第千九百五十三番山林及び同所第千九百五十五番山林との境界は、同地に隣接する水田との間の道路東端に生立する櫟を(い)点とし、それより百三十九度の方向に七間三尺六寸(水平距離、以下同じ)距りたる地点を(ろ)点とし、同点より百二十一度の方向に十五間四尺二寸距りたる地点を(は)点とし、同点より百二十二度の方向に二十二間三尺六寸距りたる地点を(に)点とし、右(ろ)、(は)、(に)の各点を結ぶ線であること、並びに被控訴人所有の同所第千九百七十四番山林と、控訴人所有の同所第千九百七十二番山林及び同所第千九百七十三番山林との境界は、右(に)点より五十二度の方向に二間五尺四寸距りたる地点を(ほ)点とし、同点より百二十七度の方向に十二間三尺距りたる地点を(へ)点とし、同点より百二十八度の方向に二十二間三尺距りたる地点を(と)点とし、右(ほ)、(へ)、(と)の各点を結ぶ線であること、更に被控訴人所有の同所第千九百六十一番山林と控訴人所有の同所第千九百六十二番山林との境界は、同所第千九百六十番に生立する径一寸余高さ三尺位のネズミサシ樹を(イ)点とし、それより八十三度の方向に二間三尺距りたる地点を(ロ)点とし、(ロ)点より百二十度の方向に五間四尺八寸距りたる地点を(ハ)点とし、同点より百十九度の方向に二十六間距りたる地点を(ニ)点とし、(ニ)点より百六十七度の方向に五間四尺二寸距りたる地点を(ホ)点とし、右(ハ)、(ニ)、(ホ)の各点を結ぶ線であることを、それぞれ確定する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、

控訴人斎藤伊太郎訴訟代理人は、「原判決(昭和二十四年(ワ)第四八号事件)中、控訴人斎藤伊太郎勝訴の部分を除き、その余の部分を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、

被控訴人訴訟代理人は、「各控訴人の控訴を棄却する。控訴費用は控訴人等の負担とする。」との判決を求め、なお控訴人斎藤伊太郎に対する請求の趣旨を拡張して、主文第二項同旨の判決並びにこの部分に対する仮執行の宣言を求めた。

当事者双方各訴訟代理人の事実上の陳述は、いずれも原判決(原審の両事件とも)の事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。

<立証省略>

三、理  由

別紙目録<省略>記載の(一)ないし(三)の山林が被控訴人の所有であり、同(四)ないし(八)の山林が控訴人斎藤金次の所有であること、右(一)の山林が同(四)、(五)の山林と、右(二)の山林が同(六)、(七)の山林と、右(三)の山林が同(八)の山林とそれぞれ境を接していること、並びに控訴人斎藤伊太郎が昭和二十四年二月中右山林のうちから、赤松約百三十五石を伐採し、且つ薪及び松葉を搬出したことは、本件各当事者間に争がない。

よつてまず右のように境を接する各山林のそれぞれの境界が、どの線であるかについて審究するに、この点に関する当裁判所の判断の結果は、当審における検証の結果、証人上野伝儀、上野勘次、深見富平、水上進、水上一朗の各証言並びに被控訴人本人尋問の結果をも総合してみて、原判決(昭和二十五年(ワ)第二六九号事件及び昭和二十四年(ワ)第四八号事件とも)理由中に説示するところと全く同一であるから、右理由中の該当部分をここに引用する。控訴人両名の援用にかかる当審証人保坂富三郎、保坂音三、輿石正男、水上要、輿石八田郎、篠原虎蔵の各証言及び当審における控訴人斎藤伊太郎本人尋問の結果、同じく鑑定人木村恵二の鑑定の結果並びに当審で新たに提出された成立に争のない乙第十号証によるも、右判断を覆すに足りない。

而して控訴人斎藤金次の本件控訴(昭和二十六年(ネ)第一五八三号事件)により当裁判所の審判の対象となつたのは、同控訴人(被控訴人所有の前示各山林と右のように境を接する前記各山林の所有者たる)に対する関係においては、右境界確定の点だけであつて、従つてこの点に関し当裁判所の判断と同一である原判決は相当であり、同控訴人の控訴は棄却を免れない。

更に控訴人斎藤伊太郎の控訴(昭和二十六年(ネ)第一六一〇号事件)により当裁判所の審判の対象となつたのは、同控訴人が前示のように伐採した赤松が被控訴人の所有なることの確認とこれが引渡の請求(この引渡請求の部分は当審で請求の趣旨が拡張されたものであること前示のとおり)並びに前示のように同控訴人の搬出した薪及び松葉の価格に相当する損害賠償の請求の部分であるから、以上の点について審究を進めるに、右の控訴人斎藤伊太郎が伐採した赤松並びに同控訴人が搬出した薪及び松葉が被控訴人の所有であること、右伐採の赤松につき被控訴人主張のように仮処分の執行がなされたこと並びに右薪及び松葉の搬出が所有権侵害の不法行為であつて、両者の価格が金三千円を下らないことの各点に関する当裁判所の事実の認定及び法律上の判断は当審における被控訴人本人尋問の結果をも綜合してみて、原判決(昭和二十四年(ワ)第四十八号事件)理由中に説示するところと全く同一であるから、右理由中の該当部分をここに引用する。控訴人斎藤伊太郎の援用にかかる当審証人保坂富三郎、保坂音三、輿石正男、水上要、輿石八田郎、篠原虎蔵の各証言及び当審における控訴人斎藤伊太郎本人尋問の結果、同じく鑑定人木村恵二の鑑定の結果並びに当審で新たに提出された成立に争のない乙第十号証によるも右判断を覆すには足りない。

してみれば、右原判決中、被控訴人が控訴人斎藤伊太郎に対し、右赤松約百三十五石の所有権の確認並びに右薪及び松葉の価格三千円に相当する損害賠償を求むる請求を認容した部分は、相当であつて、これに対する同控訴人の控訴は棄却せらるべきものである。なお、被控訴人が当審で請求を拡張した右赤松の引渡を求める点は、その所有権が被控訴人に存すること前記認定したとおりであるから、これを伐採した控訴人斎藤伊太郎に対しその引渡を求めることのできるのは当然であつて、当審における被控訴人本人尋問の結果によれば、右赤松は裁判所の命令を得て換価処分をなし、その売得金五千円を供託してあることが認められるけれども、これは仮処分の執行行為の結果であるから、本案の判決において被控訴人の右引渡請求を認容する妨げとはならない。

よつて民事訴訟法第三百八十四条第一項、第九十五条、第八十九条、第百九十六条第一項に則り、主文の如く判決する。

(裁判官 斎藤直一 菅野次郎 坂本謁夫)

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